どうも。僕です。
今回は先輩さんが、会社を去るちょっと前の出来事を書きたいと思います。
Yくんと僕
物語の中でも登場した、僕の同僚のYくん。
正確に言うと、歳は同じだけど先輩のあたるんです。でもYくんはその辺のことは気にしないで僕を先輩後輩関係なく付き合ってくれる、とても心の広い人なのですが一度だけ僕にキレたことがあるんです。
もうかれこれYくんとは20年くらいの付き合いになるのですが、後にも先にもキレたのは、その一度だけ。
正直、めちゃくちゃ怖かったですね…
だって、マジで普段は怒りの感情を何かの病気でなくしたんじゃないかってくらいに温厚なんです。
そんなYくんが、何故キレたのか?それでは本編をどうぞ…
話は会議の後、みんなでファミレスに行ったことから始まりました。
その日は僕の地元で会社の会議があり、先輩さんもYくんも僕の地元に来ていたんです。
で、会議の後にみんなでファミレスにでも行こうぜって話になりましてね。
先輩さんとYくんと後輩Sと僕の4人で、Yくんが何故か大好きなバーミヤンで食事をすることになったんです。
Yくんは無類のバーミヤンフリークで、バーミヤンが北海道から撤退した時は、膝から崩れ落ちて三日三晩号泣したほどでした。
その時、僕の家の近くにあるバーミヤンが会議をした会場から一番近かったので、そこに集まることになりました。
ちょうど時間が夕食時よりも、ちょっと早かったのもあってかノータイムで店内に入ることが出来てご満悦のYくん。
僕たちは各々食べたいものを頼み、しばしの歓談を楽しんだのです。
仕事の話や、ギャンブルの話、洋服の話などをノンアルコールでよくもそんなに喋れるな!って言うくらい喋り倒しました。本当に楽しかった。
そんな折、先輩さんが…
先輩さん「来週からの出張キツイな…」
僕「大変ですよね。1週間ですか?」
先輩さん「何もなければな」
先輩さんは次の週から1週間に渡って、地方の新規拠点立ち上げの応援に行かなくてはならなかったのだ。
先輩さん「大丈夫かな」
僕「何がですか?」
先輩さん「女に会えない」
僕「いや、我慢しましょうよwそこはw」
先輩さんは仕事は特に苦ではないが、先輩さんが抱える彼女達に会えないのがキツイというのだ…
当時の先輩さんは30代半ば…今考えれば、これほどまでに自制心のぶっ飛んだ中年はなかなかいない…とんでもないモンスターである。
しかし、僕は先輩さんの為を思って、ある提案をした。
僕「実はこの近くにリサイクルショップと専門DVD()を販売しているお店があります。行きませんか?」
先輩さんは大のセカンドストリート的なリサイクルショップ好きで、時間があるときはブランド物の洋服を探しによく訪れていた。
そして、その時食事をしていたバーミヤンの近くにも、その類のリサイクルショップがあり、しかも専門DVD()販売をしている店が併設されているという、今の先輩さんには至れり尽くせりの桃源郷があったのだ。
僕がそのことを先輩さんに説明すると…
先輩さん「すぐ行くぞ!」
僕、Yくん、後輩S「はい!!!」
Yくんも、後輩Sも満場一致で桃源郷に向かうことになった。
桃源郷にて…
桃源郷に着き、まずはブランド品を取り扱うリサイクルショップに入ることにした。
その店は3階建てになっていて、1階部分はピロティ方式の駐車場で2階が専門DVD()ショップ、3階がリサイクルショップという造りになっていた。
正面の入り口から入り、3階部分まで階段で上がるとリサイクルショップに入ることができ、2階の専門DVD()ショップへは1階のピロティ駐車場の一番奥にある専用入り口からじゃないと入れない構造になっていたのだ。
リサイクルショップでは各自マンガやゲームなど好きなものを物色し、先輩さんはブランド物の買い物に勤しんでいた。
一通り店内を楽しみ、いよいよ真の目的である専門DVD()ショップへと行くことになった。
階段を降り、一度外へ出て駐車場の奥へと足を運ぶ一行…
僕はこの時のドキドキ感を今でもよく覚えている。みんな無言になり、少しばかり早足で煌々と光る「☓☓未満入店お断り」の看板に向かって力強く歩みを進めた。
僕の脳内では、その行進はさながらレザボア・ドッグスのオープニングのシーンとオーバーラップした。
怪しく、そして甘美な光を放つゲートをくぐり、僕たちは店内に入場した。
入った瞬間に、まるでSWATが犯人宅に突入した時のように散り散りになり、店内の一斉捜査が展開された。
それぞれの専門知識()を駆使して、証拠品を探すがごとく、1ジャンル、1ジャンル、的確にクリアにして求める証拠品までの距離を縮めていく。
ここで面白かったのが、そこにいたメンバーの専門知識()がかぶらなかったことだ。
そして、僕たちは互いの専門知識()をディスることなく、リスペクトしあった。
あぁ、僕はなんて素晴らしい仲間達を持ったんだ!引きあわせてくれた神に感謝!
そうして捜査すること30分、僕と先輩さん、後輩Sはお目当ての証拠品を手に入れることができた。
証拠品を手に入れたら、早々に撤退。
これこそがこういう場所(どういう場所?)での大人のマナー。僕たちは会計をして、その場を立ち去った。
しかし…
外に出てお茶を自動販売機で買って、僕たちはベンチに腰を掛けた。一口飲んで先輩さんが言った。
先輩さん「あれっ?Yは?」
僕「…」
後輩S「まだ店内です…」
先輩さん「はぁ?まだ見てるの?あいつ?」
Yくんは目下捜査中であった。先輩さんは少し呆れながらもYくんを待つことにした。
僕はさっさと先に帰って、証拠品の鑑定をしたかったが先輩さんが待つと言うのであれば、それに従わなければならない。
僕たちは今回の捜査で得た証拠品を、まるで幼いころにやったビックリマンシールを自慢しあうように見せ合って時間を潰した。
しかし、それから10分…20分たってもYくんが出てくる気配はない…
しびれを切らした先輩さんが…
先輩さん「ちょっと、Yを呼んできて!おせーわ!」
後輩S「わかりました」
後輩Sは小走りで、Yくんを現場から連れ戻すべく店内に入っていった。しかし、直ぐに一人で戻ってきた。
僕「どうしたの?」
後輩S「いや…ちょっと無理っす…」
僕「え?何が?なんで?わかった。僕が行ってくる」
微妙な表情を浮かべる後輩S。一体何をやってるんだ?僕は早く帰って証拠品を検分したいんだ。
僕はYくんを連れ戻すために再び店内に入った。店内ではYくんが念入りに捜査をしている。
僕「ちょ、何やってんの?みんな待ってるよ?」
Yくん「…」
Yくんは一心不乱に捜査をし、僕の制止など完全にどこ吹く風であった。Yくんが捜査をしている場所には証拠品の候補となりそうなものが、山積みにされていた。
おいおい…なんだよ…そこまで必死こいてやることなのか?
僕「もうさ、どれでもいいじゃん」
Yくん「…(ギロッ)」
僕「!!!」
これは誇張でもなんでもなく、確かな殺気を感じた。ちなみにYくんは少林寺拳法の有段者です…
僕「ほら…先輩さんも…もう帰らないといけないからさ…」
僕はYくんを出来るだけ刺激しないように、そして殺気の矛先を僕に向かないように、先輩さんをダシにして諭すように言った。
Yくん「わかったよ!!今行くって!!」
僕「…!(ヒェ…!)」
僕は最初ふざけてキレて見せたのかと思ったのだが、どうやら本気のようだ。
Yくん「…ったく…!!…ブツ…ブツ…」
Yくんは僕に呪いをかけるようにブツブツと文句を言いながら、不機嫌そうに証拠品を3つほどレジまで持って行った。
この後、解散するまでYくんは僕の目を見て話すことはありませんでした。
後にも先にも、Yくんがマジギレしたのはこの事件だけでした。小心者の僕はこの時のことがトラウマになり、それ以来Yくんには心のどこかで一線を引くようになったのです。
Yくんの怒りの琴線がどこかわからないからです。
たぶん、その部分をわかることが出来た時に、本当の友達になれるのでしょう。
一日も早くそんな日が来ますように…
おわり
ということで、本日も読んで頂きまして本当にありがとうございます!それでは次回またお会いしましょう!
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