どうも。僕です。
前回の続きです…
まさかの脱退
僕が転勤してからしばらくたったある日、帰省がてらヤツが当時住んでいたアパートに遊びに行った時のことです。
アパートに行くと珍しく神妙な面持ちで僕を部屋の中へ招き入れた。
ヤツ「オレ、バンドやめるわ」
僕「はぁぁ?お前、結構いい線いってるってメールで言ってたじゃん?なんでやめんの?」
僕が転勤してから、ちょくちょくメールでの活動報告がされていた。
東京にライブをしに行ったり、プロデューサーが付いたりとバンドとしては成長トレンドにあった。
プロというものが目の前にあるのに、なぜこのタイミングでやめる?僕には理解出来なかった。
僕が怪訝な表情をしていると、ヤツは大事そうに新聞を取り出し僕に見せた。
僕「なに?これ?」
ヤツ「よく見ろ」
よく見てみると、それはスポーツ新聞。このスポーツ新聞が何なのだ?新聞配達でも始める気か?
僕は面倒くさいなと思いながらも、ヤツに促され記事を確認した。
僕「…ラーメン?」
ヤツ「おうよ!」
その新聞の記事には当時、彗星のように現れたラーメン店の「彩未」の店主がデカデカと紙面に印刷されていた。
僕「…え…ラーメンがなに?」
ヤツ「これ…やるぜ」
ラーメン…だと…?
おいおい…?どうした?急に?
確かにお前さんが子供の頃からラーメンが好きなのは知ってる。でも、なぜこのタイミングで音楽をやめるんだ?
このまま活動を続ければ、チャンスはまだまだあるはず…
僕はそのへんの気持ちをヤツに問いただしたかったが、ヤツが思うところがあって決断したことなのは、神妙な面持ちから十分感じ取れたので僕はそれ以上聞かなかった。
僕「マジか…」
ヤツ「お前、どう思う?」
僕「お前、マニアックだから向いてるんじゃねw」
ヤツ「だろw」
ヤツはギターにしろ、音楽にしろ、料理にしろ、ホラー映画にしろ、気持ちが悪いほどマニアックで、中でもガンダムには異常な執着心を持っていて、ほとんどのセリフを暗記しているほどであった。
興味をそそるものは、極限まで突き詰めないと気がすまないタチなのである。
そして、一度スイッチが入ってしまったら、病的とさえ思えるほどの集中力を発揮し体力の限界までやり続けるジャンキー…いや、サイコ野郎と言っても過言ではない。
その病的な集中力を駆使すれば、きっと素晴らしいラーメンを作るであろうことはヤツとのこれまでの付き合いを鑑みれば火を見るよりも明らか。
更に、ヤツはイカれた嗅覚の持ち主だった。
一緒に遊んでいて、汗の匂いやゲップや屁を凄まじいスピードで嗅ぎ分けて、即座に指摘してくる。
迂闊に屁も出来ないほどで、僕はいつも緊張状態を強いらていた。そんな常人にはない才能?性能?を持つ男なのだ。
僕はヤツがバンドをやめるのは残念だったが、受け入れるしかない。
僕「…で、どうすんだ?」
ヤツ「すみれに弟子入りする」
僕「すみれ?あー、すみれね…ってか、名店じゃん!もう決まってるのか?」
ヤツ「これから面接を受けようと思う」
僕「決まってないのかよ!これからかよ!w面接落ちたらどうすんだよw」
弟子入りすると宣言したくせに、まだなにも決まってないのにヤツの中ではもう既に明確なヴィジョンがあるらしい…
つづく
ということで、本日も読んで頂きまして本当にありがとうございます!次回またお会いしましょう!
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