どうも。僕です。
前回の続きです…
暖簾分け
詳しい話は聞かなかったが、ヤツがすみれの社長に独立したい想いを伝え、社長も承諾。そして、晴れてのれんも分けてもらえるということだった。
ヤツはすみれの社長のことを、常日頃から本当の父親のように僕に話していた。そんな想いもあり、すみれを旅立つという話をした時に涙したという。
ヤツ曰く「自分で門を叩いて、自分で出て行く。」このことには様々な想いが交錯したとらしい。
僕はそのことを話す”ヤツ”の表情を見て何も言えなくなった。
目標を達成させるために様々な代償を支払い、駆け抜けた10数年間。ヤツにしかわからない想いがたくさんあっただろう。
ヤツは絶対に口にしないが、ヤツにしかわからない苦労もたくさんあっただろう。
その万感の思いを持っての独立。
※すみれ博多店にて
本当に良かった…!いや、良かったじゃない。本当によくやった!心から尊敬する。
充電期間
すみれを退社し、その後ヤツは物件探しなどの店舗立ち上げのため充電期間に入った。
そして、ヤツは店舗の準備と平行してフィジカル面の調整を徹底して行なっていた。
ジムに通い、体力づくりのトレーニングを充電期間の1年間ずっと欠かさずにやり続けたのだ。
最高のラーメンを提供するために身体を鍛えるなんて、僕には想像もつかなかったが確かに言われてみれば理にかなっている。
ヤツは繁忙店になることを強く意識していたのだろう。
繁忙店になった時にの一番の懸念は疲労によって、商品の提供に不具合が出ることや体調を崩して店を休まざる得ない状況だ。
何よりも健康体であることが大前提なのである。まさに身体が資本なのだ。
なんというストイックさ…
そうこうしているうちに物件が決まり、いよいよ店の立ち上げが本格的に始まった。
場所は完全に住宅街。お世辞にも良い立地条件とは言えないが、ヤツなりの考えと勝算があってのことだという。
そして、宣伝は一切しないということ。
宣伝をしないことを心配し懸念を示した友人もいたが、僕はヤツが払った代償、美意識を鑑みれば勝てる勝負だと思っていた。
というのも、僕は小売業界に身を落として約20年になるが、良い商品を丁寧に売れば必ず売れることを感覚的に理解していたからだ。
確かにいくら良い商品でもプロモーションをしなければ、知られなければ売れない。全くもって「ど」がつくほどの正論だ。
ハリウッドの映画なんかでも、プロモーションの費用に映画自体の制作費と同等の予算をかけて売り出す。プロモーションの予算が取れなければ、せっかく造った映画もお蔵入りにさせるくらいだという。
しかしながら、世の中の名作と呼ばれる映画は、必ずしもそのようなプロセスだけで人々に支持されるわけではない。
単純な話、良い物は良いのだ。
良い作品、一貫した美意識のもとで造られた映画は必ず陽の目をみる。大きな商業的な成功はないかもしれないが、必ず一定のファンがつき、必ず評価される。
前述したが、ヤツが大きな代償を支払って手に入れた技術は、そのための条件を既に整えていたと僕は肌で感じていた。
つづく
ということで、本日も読んで頂きまして本当にありがとうございます!次回またお会いしましょう!
日本ブログ村ランキングに参加しています!宜しくお願い致します!