どうも。僕です。
前回の続きです…
先輩さんが金を無心しに来た数週間後、先輩さんの担当する店舗から売上金が消えたことに戦慄する僕…
その額…
約60万円!!
尋常じゃない事態に社内はざわつきを隠せずに、その話は一気に広まった。
売上金消失事件
僕がその話を聞いたのは、先輩さんの家に誘ってくれた後輩くんからだった。後輩くんが言うには、夜レジを締めた後に事件が起こったらしい。
その日のメンバーは、僕の記憶が正しければ、先輩さんとスタッフ2名という3名体制だったはずだ。
そのうちの一人は、先輩さんの右腕として活躍していた優秀な若手スタッフ。もう一人は確か女性スタッフだったと記憶している。
通常の業務をこなし、現金の過不足なく夜レジを締めたそうだ。
通常であれば、レジを締めた後に釣銭準備金を抜いた売上金を「ナイトバッグ」と呼ばれる革製のバッグに入れ、銀行の「夜間金庫」と呼ばれる投函口に速やかに投函し入金が完了となる。
しかし、その日はレジを締めて、売上金をナイトバッグに入れた後、速やかに入金に行かずにレジカウンター内で保管していたというのだ。
その時点でマニュアル違反なのだが、なぜそのような手順になってしまったのかは不明。
そして、一瞬目を離した隙に売上金が入ったナイトバッグが消えたということらしい。
全くもって不審点だらけであって、更に事件の少し前に僕のところへ先輩さんは金の無心をしにきているわけだ。
ちなみに先輩さんが金の無心に来たことは、社内の誰にも言っていない。
もうこれは絶対先輩さんの仕業に間違いがないと僕は確信した。優秀な若手スタッフがやるとは思えないし、女性スタッフには60万は精神的に重すぎる。
60万もの大金をパクるとなると、誰にも咎められずに動くことが出来、そして相当な覚悟か、追い込みをかけられていなければ出来ない芸当である…
すべての条件を満たすのは先輩さんしかいない…
まさかの結末…!
この件で急遽本部の監査室から監査員が派遣され、当日いたスタッフのみならず、全てのスタッフから聞き取り調査が行われた。
また、警察へも被害届が提出され警察の捜査も同時に行われたのだが…
結論から言うと…
…
…
…
始末書だけで、実質的なお咎めは無しであった。
最終的に出た結論は、レジ閉め後レジカウンター内に置いてあったナイトバッグを誤って、レジ閉め後に商品を購入したお客様に、商品と一緒に買い物袋に入れて渡してしまったのではないか。というあり得ない結論が出されたのだ。
60万もの大金が入った革製のナイトバッグが、商品と一緒に混入すれば誰だって気がつくはず…
しかし、このような結論が出されたのであった。そして、事態は収束に向かったのだ。
僕は後悔している。あの時なぜ声を上げなかったのかを。
僕が先輩さんが事件の少し前に金の無心をしに来たことを言えば、もしかしたら違った結末になっていたかもしれない。
しかし、当時の僕は事態が収束に向かっているので、面倒はごめんと言わんばかりに沈黙をしたのだ。
それに、先輩さんがやったという証拠なんて一つもない。警察も介入し、それについては決着がついているのにわざわざ蒸し返す必要はない。
そして、先輩さんから物を貰ってしまっているという、後ろめたさが僕の心にブレーキをかけてしまったのだ。
そんな間違った判断をしてしまった。
その後、ほとぼりがさめるまで先輩さんはおとなしかったが、時間が経つにつれて、また元の派手な生活に戻っていった。
それからしばらくして、先輩さんに或る転機が訪れた。
先輩さんが今いるエリアから、地方のエリアへと転勤にすることになったのだ。
その転勤を機に先輩さんは破滅の道を辿るのであった。
つづく…
ということで、本日も読んで頂きまして本当にありがとうございます!それでは次回またお会いしましょう!
日本ブログ村ランキングに参加しています!宜しくお願い致します!